今週の投資:米長期金利が24年ぶり高水準、OpenAI売上報道でAI株が揺れる
筆者:オペラシンフォニー(元・大手証券トップセールス/CFP)
米10年国債の利回りが2002年以来の高さに上がり、OpenAIの売上が報道より少ないと伝わってAI関連株が売られた一週間。日経平均は一時7万円を超えたあと反落しました。米露のディーゼル合意やSpaceXの電波取得、欧州のユーロ安と中国の人民元をめぐる応酬もまとめます。
10月5日〜9日の週を中心に、相場に関わる新しい出来事をまとめました。
新技術・特許
- 【米国】OpenAIの売上規模、これまでの報道を下回る(10月8日)
英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、OpenAIは投資家に対し、年換算の売上高(今の売上ペースが1年続いた場合の金額)が「約500億ドルに近づいている」と説明しました。9月末に報じられていた約700億ドルより約200億ドル少ない数字です。TechCrunchによると、OpenAIの上場時期は2027年初めにずれ込む見通しとされています。この報道を受けて、同じ日にエヌビディアやオラクル、CoreWeaveなどAI関連株が下落しました。
出典:OpenAI's revenue is reportedly $20 billion less than previously projected/Nvidia, Oracle, CoreWeave and other AI stocks sink on OpenAI revenue report
- 【米国】SpaceX、スマホ向けの電波を取得へ(10月8日発表)
SpaceXは、Grain Managementが持つ800MHz帯の全米の電波の利用権を取得すると発表しました。衛星から直接スマホにつなぐ通信事業を広げるねらいです。金額は公表されていませんが、ブルームバーグやウォール・ストリート・ジャーナルは約80億ドルと報じています。翌9日には、競争が激しくなるとの見方からT-Mobile、AT&T、ベライゾンの株価が8.5〜13%下がりました。
出典:SpaceX Acquiring Grain Spectrum to Support Mobile Ambitions/Markets News, Oct. 9, 2026
- 【米国】大手テック企業の新しい特許出願(10月9日まとめ)
今週公開された特許出願には、Verily(アルファベット系)の「下まぶたの内側に置くやわらかいセンサーで、針を刺さずに血糖値を測る技術」、テスラの「ロボットの手にかぶせる触覚センサー付きの皮膚」、Zoox(アマゾン系)の「警察官の口頭の指示を聞き取って乗客に伝えるロボタクシー」などがありました。特許の出願は、すぐに製品になるとは限りません。
出典:Big Tech's Twelve Most Interesting New Patents This Week (10/9/2026)
上場まわり(IPO・上場廃止)
- 【米国】バイオ企業2社がナスダックに上場(10月9日)
炎症性の病気の薬を開発するTRex Bio(ティッカー:TRXB)は、1株14ドル(仮の価格帯14〜16ドルの下限)で約1億1,670万ドルを調達しました。高血圧の薬を開発するRetension Pharmaceuticals(RTSN)は、1株12ドル(11〜13ドルの中央)で約4,500万ドルを調達し、売り出す株数を当初より増やしています。
出典:Lilly-backed TRex rakes in $117M IPO, while hypertension biotech Retension reveals $45M listing
- 【インド】大型IPOの条件が相次いで決まる(10月11日報道)
消防設備のHD Fire Protectは仮の価格帯を1株258〜271ルピー(調達規模は約71.2億ルピー)、Fusion CXは275〜289ルピー(約70.2億ルピー)に決めました。インドでは2026年に入ってから96社がIPOを行い、そのうち35社が9月に集中しています。リライアンス傘下のJio Platformsの上場も、関係者の話として報じられています(正式な条件は未確認)。
出典:IPO rush continues: Jio, Zetwerk among cos set to tap primary market in Oct
- 【日本】 今週(10月5日〜9日)に東証へ新しく上場した会社は、確認できた範囲ではありませんでした。
世界の経済
- 【米国】10年国債の利回りが2002年以来の高さに(10月7日)
米10年国債の利回り(国にお金を貸したときに受け取れる利率)が一時5.35%を超え、2002年以来、約24年ぶりの高さになりました。原油高によるインフレ(物価上昇)への心配や、国の借金の多さなどが理由とされています。金利が上がると、住宅ローンや企業の借り入れも高くなります。
出典:10-Year Treasury Yield Hits Highest Level Since 2002
- 【米国】株式は週間で上昇(10月9日)
8日はAI関連株が売られたものの、9日は買い戻され、週間ではS&P500が1.2%、ダウ平均が0.9%、ナスダック総合が0.6%上がりました。ナスダックは4週続けての上昇です。
出典:Markets News, Oct. 9, 2026: Stocks Rise as Oil Prices, Treasury Yields Stabilize
- 【日本】日経平均、一時7万円台のあと反落(10月8日・9日)
週の前半はAI・半導体株が買われ、日経平均は一時7万円を超えました。しかし8日は世界的な金利上昇への警戒から993円下がり、9日も11円安の6万9,030円で終えました。ファーストリテイリングは純利益が過去最高になる見通しを出しましたが、市場の予想に届かず売られました。
出典:来週の日経平均見通し(10/12~10/16)【2026年10月9日】
- 【欧州】ユーロ安とフランスの財政不安(10月7日)
ユーロは1ユーロ=1.116ドルまで下がり、2025年5月以来の安さになりました。ユーロ圏の9月の物価上昇率は3.8%と高く、エネルギー価格の上昇が続いています。フランスでは、ドイツと比べた国債の金利差が2011〜2012年の債務危機以来の大きさに広がりました。2027年度予算案は議会の過半数の支持をまだ得られていません。
出典:Record bets against the euro: how low could it fall amid France's fiscal crisis and Europe's energy shock?
- 【アジア】中国株、連休明けに下落(10月8日)
国慶節の連休が明けた8日、上海総合指数は0.79%安の3,811.9でした。ハイテク企業が多い科創板の指数は4.55%下がり、石油・電力・造船は値上がりしました。
出典:Chinese shares close lower Thursday
米国債・日本国債などの利回りの水準は、利回りとリスクの一覧で、預金や株式の配当と並べて見られます。
政治の動き
- 【米国・ロシア】ディーゼル燃料の供給で合意(10月9日)
トランプ大統領はプーチン大統領と電話で話し、ロシアがアメリカや世界の市場にディーゼル燃料を供給することで合意したと発表しました。アメリカのディーゼル価格は、イランとの戦争が始まってから約70%上がっていました。発表後、原油価格(WTI)は0.4%下がりました。
出典:Trump announces Russian diesel deal amid soaring US fuel prices/Trump strikes deal with Putin to supply Russian diesel to U.S. and global markets
- 【日本】高市首相が所信表明、財政目標の点検体制を指示(10月5日・9日)
5日に臨時国会が始まり、高市首相が所信表明演説を行いました。経済や市場の動きが想定と違う場合は「機動的に対応する」と述べ、国債の発行額は金利や市場の状況をふまえて決めるとしています。9日には、「骨太の方針」に入れた経済成長率と財政運営の目標について、点検・検証する体制を具体化するよう指示しました。
出典:金融市場への配慮を示す首相の所信表明演説:リフレ政策の修正はあるか/高市首相 経済成長率や財政運営目標"点検・検証体制具体化を"
- 【中国・EU】人民元をめぐって中国の中央銀行が反論(10月8日)
EUの通商担当トップが北京で貿易赤字の縮小を話し合うなか、中国人民銀行(中国の中央銀行)は「輸出を有利にするために人民元を安くしている」との見方を否定しました。2027年から国際通貨基金(IMF)への為替データの報告を増やすとしています。EUの対中国の貿易赤字は2025年に3,606億ユーロでした。
出典:China has no need or intention to weaken yuan for trade edge, central bank says
※本記事は公開情報・各種出典に基づき事実を整理したものです。相場や制度は変動するため、最新情報もあわせてご確認ください。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。