毎年同じ利回りで増えると考える計算では、「いつ下がるか」は結果に出てきません。でも取り崩しの時期は、下がる年が最初に来るか、後に来るかで、資産のもつ年数が変わります(順序のリスク)。値動きを入れた試算で、その幅を見てみましょう。
取り崩しを始めたあとは、資産にお金を足さない前提です(積み立て・入金はしない)。年金などの収入は計算に入れていないので、毎月の取り崩し額には「生活費のうち、年金などで足りない分」を入れてください。
初期値(期待リターン5%・リスク20%)は、株式を想定した一般的なモデルの数字で、このサイトのポートフォリオ計算と同じ値です。特定の商品の予測ではありません。税金・手数料は考えていません。
3,000万円・65歳から・毎月15万円
資産がもつのは(ふつうの場合=2,000通りの真ん中)
86歳まで
運が悪い場合(10回に1回は、これより早く尽きる):76歳まで
100歳まで残る確率:24%
毎年きっちり5%ずつ増えると考えた場合は97歳まで。値動きを入れると、この幅になります。
資産の推移の幅
ふつうの場合(真ん中)運が良い場合運が悪い場合帯=運が悪い場合〜運が良い場合のあいだ
2,000通りの値動きを計算し、各年齢で並べています。運が良い場合(点線)=10回に1回はこれより多くなる線、運が悪い場合(破線)=10回に1回はこれより少ない資産になる線で、帯はそのあいだです。2,000通りの計算なので、線が少しギザギザします。
同じ暴落(−30%)でも、来る時期で変わる
ここでの暴落=1年で資産が30%下がる年(−30%)が1回だけ来ること。ほかの年は毎年5%で増え、暴落のあとに特別な戻り(反発)は入れていません。
同じ暴落でも、1年目に来ると8年早く尽きます(81歳 と 89歳)。
1年目に暴落(−30%)15年目に暴落(−30%)
どちらも「毎年5%、そのうち1回だけ−30%」という同じリターンの組み合わせで、並び順だけを変えています。取り崩し額は毎月15万円です。
この結果の読み方
取り崩しの最初の数年に下落が重なると、回復を待つ前に元本が減ってしまいます。最初の数年は取り崩しを抑える、現金を厚めにしておく、という一手があります。
定率は尽きにくい代わりに、使える額が年によって変わります。生活費の「必ずかかる部分」は、年金など別の柱でまかなう考え方もあります。
これは一般的なモデルでの試算で、特定の商品の予測ではありません。幅で見ておくと、下がった年に慌てずにすみます。
まず自分でできること
- 生活費を「必ずかかる額」と「調整できる額」に分けてみる
- 取り崩しを始める前に、2〜3年分の生活費を値動きの小さいお金で持つか考える
- ねんきん定期便で、年金の見込み額を確かめる
PR取り崩しの計画を、FPと一緒に見直したいときに。
次は、相場が下がったときに売ったり積立を止めたりすると、どれだけ差がつくかを確かめてみましょう。
狼狽売りの値段 →計算の前提と出典(2026-10-07 時点)
- 1年を1区切りにして、年のはじめに1年分を取り崩し、残りがその年のリターンで増減すると考えています。100歳まで計算します。
- 値動きは、年ごとのリターンが対数正規分布にしたがうモデル(1年あたりの平均の伸び=1+期待リターン、ばらつき=リスク)で、2,000通りを計算しています。乱数は固定しているので、同じ入力なら同じ結果になります。
- 「資産がもつ年齢」は、丸1年分を取り崩せた最後の年齢の次の年齢です。ふつうの場合=2,000通りを並べた真ん中、運が悪い場合=悪いほうから数えて200番目(10回に1回はこれより悪い)、運が良い場合=良いほうから数えて200番目(10回に1回はこれより良い)の値です。
- 取り崩しを始めたあとは、資産にお金を足さない(積み立て・入金をしない)前提です。
- 順序のリスクの見本は、毎年=期待リターン、1回だけ−30%(暴落)の年を1年目に置いた場合と15年目に置いた場合を比べています(値動きのない見本)。
- 資産額・年齢・取り崩し額・取り崩し率・物価の上がり方の初期値は筆者の仮定です。期待リターン5%・リスク20%は、このサイトのポートフォリオ計算と同じ一般的なモデルの値(リスクはGPIFが外国株式に用いる期待リスクを参考)。税金・手数料・年金などの収入は入れていません(定額の取り崩し額は「年金などで足りない分」として入れる想定です)。