AIで最初に儲けるのは、"ツルハシ屋"かもしれない
執筆:オペラシンフォニー
AIブームで最初に儲けるのは主役の企業とは限りません。半導体指数の上昇、HBMのシェア、CoWoSの増強計画など2026年時点の数字から、ボトルネックを握る“ツルハシ屋”という見方を整理します。
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「AIといえば、主役のあの会社に賭ければいい」。そう思っていませんか。話題になる企業に資金が集まるのは自然なことです。でもゴールドラッシュの歴史を振り返ると、いちばん確実に稼いだのは金を掘り当てた人ではなく、ツルハシとジーンズを売った側だった、という見方があります。この記事では、AIブームで「価値がどこに落ちているか」を、2026年時点で確認できる数字を材料に整理します。答えを押しつけるのではなく、あなたが自分で判断するための材料を増やすのが狙いです。
よくある期待は「主役に賭ける」
AIの主役は、対話AIを出す会社や、AI用チップを設計する会社だと語られます。実際にその期待は株価にも表れました。ただ注意したいのは、主役は競争も激しく、期待が先に織り込まれやすいことです。誰の目にも「主役」と映る場所は、価格もそれなりに高くなっている、という見方もできます。
データが示す「ツルハシ屋」の存在感
供給側、つまりチップを作る工程に目を移すと違う景色が見えます。半導体株をまとめた指数のひとつは、2026年8月25日時点で年初来およそ70%上昇し、同時期のS&P500(12.1%)やナスダック100(15.6%)を大きく上回りました(Motley Fool, 2026年8月)。もちろん半導体株は値動きも荒く、上げ幅がそのまま続く保証はありません。
価値は「ボトルネック」に落ちる
なぜ川上が強いのか。鍵は供給の詰まり、つまりボトルネックを握っているかどうかです。
- AI用チップに欠かせない広帯域メモリ(HBM)では、2026年4〜6月期にSKハイニックスが約50%、サムスンが33%、マイクロンが18%と、SKハイニックスが首位を保っています(Counterpoint調べ/Seoul Economic Daily, 2026年9月)。作れる会社が限られる部品ほど、値決めの力が残ります。
- チップを一枚に束ねる先端パッケージング「CoWoS」も詰まっています。TSMCは2026年末に月およそ13万枚、2028年末には26万枚へ倍増させる計画で、それでも需要に追いつかない可能性が指摘されています(TrendForce, 2026年9月)。
供給が足りない場所は、需要が誰の製品に流れても通り道になります。これが関ヶ原インベスターズのいうmoat(堀)=ボトルネックを握ること、という視点です。「標準規格」に組み込まれた部品も同じで、みんなが使う土台になれば需要をひとりで奪い合わずに済みます。
強い会社の堀を別の角度から見分ける方法は、特許は「数」ではなく「エサ」でも書きました。
今日からできる見方
- 話題の主役だけでなく、その主役が「何を買わないと作れないか」を一段さかのぼって見る。
- 「代わりがきかない工程はどこか」を問う。作れる会社が少ないほど、値段を決める力が残りやすい。
- 海外や半導体の事例は正解ではなく参考事例として扱う。国内の企業や従来型の投資が劣るという話ではありません。
話題の主役に資金が集まりやすいしくみは、インデックス投資は「分散」ではなく「集中投資」になっているも参考にしてください。
話題の分野に偏った株が大きく下がったとき、元に戻すのにどれだけ上がる必要があるかは、狼狽売りの値段で数字にできます。個別の分野に回す前の家計の順番は、お金の地図にあります。
AIの土台になる半導体を、国どうしの争いとして読み解いた本もあります。
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まとめ
AIで最初に大きく価値を取るのは、必ずしも主役企業とは限りません。供給の詰まりを握る川上に価値が落ちる場面がある、というのが2026年時点のデータから読み取れる一つの見方です。条件は選べません。相場全体の熱や割高感は自分ではどうにもなりません。でも、その中で「どこを見るか」という一手は選べます。
よくある質問
- AIブームで儲かるのは半導体だと決めていいですか?
いいえ。ここで挙げたのは参考事例で、確実に儲かるという意味ではありません。半導体株は値動きが大きく、需要が落ちれば大きく下がることもあります。
- SKハイニックスやTSMC、NVIDIAは「買い」ですか?
本記事は特定の銘柄を推奨するものではありません。実名は仕組みを説明するための例として挙げています。
- "ツルハシ屋"を見つける手がかりは?
「代わりがきかない工程」「作れる会社が少ない部品」「みんなが使う標準」を握っているか、という三点を出発点にすると考えを整理しやすくなります。
出典
- Meet the Super Semiconductor ETF Obliterating the S&P 500 and the Nasdaq-100 in 2026(Motley Fool, 2026年8月28日)
- Samsung's HBM Market Share Jumps to 33%, Narrowing Gap With SK hynix(Counterpoint調べ/Seoul Economic Daily, 2026年9月3日)
- TSMC Targets CoWoS to Double by 2028(TrendForce, 2026年9月14日)
- Semiconductor Equipment: The Picks & Shovels of the AI Era(Tema ETFs)
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本記事は情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。特定の銘柄の売買を勧めるものではなく、本文中の数値は記載の時点(2026年)のものです。最終的な投資判断はご自身で行ってください。