投資ニュース2026-09-20
今週の投資:日米そろって利上げ、日銀は31年ぶり1.25%へ
筆者:オペラシンフォニー(証券アナリスト・CFP/元・大手証券トップセールス)
今週は日本と米国の中央銀行がそろって利上げに動いた1週間でした。米FRBは約3年ぶり、日銀は31年ぶりの水準となる政策金利1.25%へ。国内ではakippaが上場初日に公開価格の2倍超をつける一方、米国では原子力Holtecが上場を見送り。バイオではFDAが新しい放射性医薬品を承認しました。
今週(9月14日〜20日)は、日本と米国の中央銀行がそろって金利を引き上げた、めずらしい1週間でした。国内のIPO(新規上場)や政治の動きとあわせて振り返ります。
新技術・特許
- (日本)伸び縮みして通気性もある「導電フィルム」を開発:理化学研究所が9月19日、肌や電子素子に負担をかけずに伸び縮みし、通気性もある電気を通すフィルムを開発したと発表しました。汗をかいても蒸れにくいため、体に貼り付けて使う「ウェアラブル端末」やセンサーへの応用が期待される技術です。ただし現時点では研究段階の成果で、すぐ製品になるわけではありません。 研究成果(プレスリリース)2026|理化学研究所
- (日本)次世代X線の新しい出し方に成功:同じく理化学研究所は9月16日、「X線自由電子レーザー」という強力なX線を、まとめて連続的に発生させる技術(マルチバンチ構造)に成功したと発表しました。物質や材料を細かく調べる基礎研究を支える装置で、素材開発などの土台になる技術です。 研究成果(プレスリリース)2026|理化学研究所
- (米国)FDAが新しい「放射性医薬品」を承認:米国の医薬品規制当局であるFDA(食品医薬品局)は9月14日、Curium(キュリウム)社のがん治療薬「Bexlutry(ベクスルトリー)」を承認しました。胃・腸・すい臓にできる「神経内分泌腫瘍」というがんが対象で、放射性物質を薬に組み込んでがん細胞をねらい撃ちする「放射性医薬品」と呼ばれるタイプです。がん治療の新しい選択肢として、投資家の関心も高い分野です。 New FDA Drug Approvals for 2026|Drugs.com
上場まわり(IPO・上場廃止)
- (日本)akippa(アキッパ、627A)が上場初日に公開価格の2倍超:駐車場をネットで貸し借りできる「駐車場シェア」サービスを手がけるakippaが、9月18日に東京証券取引所スタンダード市場へ新規上場しました。売り出しの値段(公開価格)は1株570円でしたが、取引初日に最初についた値段(初値)は1,244円と、公開価格を118.2%上回りました。人気の高さがうかがえる結果です。 akippa(アキッパ)(627A)のIPO上場情報|IPOKISO
- (日本)9月中旬は新規上場が集中:9月16日にオリバー(619A)とオーディオストック(621A)、17日にSkyfall(625A)、そして18日にはakippaを含む4社(テクノクラフト622A、ベルテックス623A、かがやきホールディングス624A、akippa627A)が同じ日に上場するなど、上場が立て込んだ1週間でした。1日に何社も重なると、投資家のお金が分散しやすい点は覚えておきたいところです。 9月に突然のIPOラッシュ!?注目銘柄とスケジュール|IPOKISO
- (米国)米国でも金融関連の新規上場:米国では9月16日にハワイの地方銀行 American Savings Bank of Hawaii(ASBH)が1株16ドルで、9月18日には保険会社 Orion180 Insurance Group(OIG)が1株12ドルで上場しました。調達額はそれぞれ約1.3億ドル、約2.4億ドルとみられます。派手なテック企業ではなく、金融・保険といった手がたい銘柄の上場が目立ちました。 2026 Pricings|IPOScoop
- (米国)原子力のHoltecが上場を見送り:原子力関連サービスのHoltec(ホルテック)が9月16日、米国での新規上場を当面見送ると報じられました。理由は「市場環境」で、AI関連株の乱高下など相場の不安定さが背景にあるとされます。中央銀行の利上げと重なり、企業が上場のタイミングを慎重に見極めている様子がうかがえます(上場を目指していた小型原子炉=SMR関連として注目されていた企業です)。 Holtec postpones planned US IPO, citing market conditions|Investing.com(Bloomberg報道)
なお、欧州・アジアの大型上場の多くはこの週の直後(9月21日以降)に予定されており、この1週間は米国・日本の新規上場が中心でした。
世界の経済
- (米国)FRBが約3年ぶりの利上げ:米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、9月16〜17日の会合(FOMC)で政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。利上げは約3年ぶりで、参加者の全会一致での決定です。パウエル議長は「インフレ(物価上昇)はまだ高すぎる」と述べ、年内にもう1回の利上げがありうることを示しました。金利が上がるとの見方から、為替は一時1ドル=156円台まで円安・ドル高が進みました。 FRBが3年ぶり利上げ決定、年内あと1回予想|日本経済新聞 / 9月FOMCレビュー|OANDA証券
- (日本)日銀が31年ぶりの水準へ利上げ、1.25%に:日本銀行は9月18日の会合で政策金利を0.25%引き上げ、1.0%から1.25%としました。これは1995年以来、約31年ぶりの水準です。採決は賛成7・反対2の賛成多数でした。円安や資源高による物価の上振れを抑える「予防的」な利上げと位置づけられています。植田和男総裁は会見で、今後も続けて利上げする可能性を「排除しない」と述べました。背景には、8月の国内企業物価が前年同月比+7.6%と高止まりする一方、消費者物価(コアCPI)は7月時点で+1.8%という「ねじれ」があります。 日銀1.25%に利上げ、決定会合|時事ドットコム / 日銀利上げ 1.25%へ 内容まとめ|株帳 / 植田総裁、連続・大幅利上げの可能性「排除せず」|日本経済新聞
- (米国)株式市場は金利上昇を警戒してまちまち:利上げを受け、9月18日の米国株はまちまちの動きでした。ダウ工業株30種平均は51,682ドル台と小幅に下落した一方、ハイテク中心のナスダック総合指数とS&P500種株価指数は上昇しました。長期金利(米10年国債利回り)が5.0%まで上がり、金利の高さが警戒された形です。 米国株式市場はまちまち、金利高を警戒|財経新聞
- (アジア)半導体株が引っぱり、アジア株は上昇:9月18日のアジア市場は、半導体関連株の上げが目立ち、全体として上昇しました。米国が利上げしたあとでも、AI・半導体への根強い需要が買い材料になった形です。一方で中国本土の株式市場(上海総合指数)は17日に反落するなど、同じアジアでも明暗が分かれました。 アジア株 総じて上昇、半導体関連株の上げが目立つ|みんかぶFX / 17日の中国本土市場概況:上海総合は反落|財経新聞
- (欧州)英中銀は6会合連続で金利を据え置き:イングランド銀行(英国の中央銀行)は9月17日、政策金利を3.75%に据え置くと決めました。据え置きは6会合連続です。米国や日本が利上げに動くなか、英国は当面は様子見の姿勢です。ただし、エネルギー価格の上昇で物価が強まれば「金利を上げる必要性が高まる」とも述べ、警戒感はにじませました。 英中銀、6会合連続で政策金利据え置き|ジェトロ
- (アフリカ)ナイジェリアの物価上昇が一段と鈍化:アフリカ有数の経済大国ナイジェリアで、9月18日に発表された8月の物価上昇率(消費者物価)は前年同月比15.39%と、7月の15.43%からわずかに下がりました。ひと月ごとの伸びは0.71%と大きく鈍化しています。物価の落ち着きは利下げへの期待につながりますが、世界的な金利上昇や原油高(1バレル100ドル超)が、中央銀行が利下げに動ける余地を狭めています。通貨ナイラは1ドル=約1,331ナイラ前後でした。 Weekly Roundup: Nigeria's Inflation Fell|Ranora Consulting
政治の動き
- (日本)第2次高市改造内閣が発足:9月17日、高市早苗首相のもとで内閣改造が行われ、第2次高市改造内閣が発足しました。財務大臣の片山さつき氏、経済産業大臣の赤沢亮正氏は留任。連立を組む日本維新の会からも初めて閣僚が起用され、規制改革の担当に就きました。新内閣は「物価高対策」や「規制改革」を経済政策の柱に掲げており、企業活動や相場に関わるテーマが多く含まれます。9月22日には日米首脳会談も予定されています。 第2次高市改造内閣 閣僚等名簿|首相官邸 / 第2次高市改造内閣の閣僚名簿一覧
- (米国)利上げしたFRBと政権の緊張:FRBが9月17日に利上げしたことは、かねて金利の引き下げを求めてきたトランプ政権の意向に反する決定でもありました。政権が繰り返し利下げを求める一方で、FRBは物価を抑えることを優先。中央銀行が政治から距離を置いて政策を決められるか(中央銀行の独立性)が改めて注目され、投資家も両者の関係を注視しています。 米9月FOMC総括|外為どっとコム
- (欧州)フランスの財政・政治不安が再燃:フランス政府は9月19日、2027年の予算案の方針を示し、歳出の伸びを抑えてEUの基準内に収める姿勢を打ち出しました。ただ、議会で安定した多数を持たない「少数与党」のため、野党は緊縮(支出の切り詰め)に後ろ向きです。財政と政治の先行き不安から、フランス国債の利回りは10年物で4.5%を超え、ドイツ国債との金利差は10年以上ぶりの大きさに広がりました。ユーロ圏の火種として意識されています。 French draft budget caps spending growth to satisfy EU|Investing.com
※本記事は公開情報・各種出典に基づき事実を整理したものです。相場や制度は変動するため、最新情報もあわせてご確認ください。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
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