練習2026-10-18

「練習に行っている」と「練習している」は違う ――同じ時間で差がつく理由

執筆:オペラシンフォニー

練習場所には行っている。でも、そこで練習をしているのか、体を動かしているだけなのか。同じ時間・同じメニューでも差が開いていく理由を、研究と親の実感から考えます。成果=時間×質。

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お子さん、本当に練習に行っていますか。

練習場所には、行っていると思います。送り迎えをして、汚れたユニフォームを洗って、また次の練習へ。

聞きたいのは、その先です。そこで「練習」をしているのか。それとも、体を動かしているだけなのか。

同じ時間、同じメニューでも、差は開いていく

同じチームで、同じ日に、同じメニューをこなしている。それでも、半年もすると差がはっきりしてきます。

自主練の量の差もあるでしょう。でも私は、同じ練習時間の中でも、もう差はついていると思っています。

ひとつ、海外の調査を紹介します。アメリカで7〜14歳の子ども200人(サッカー・野球・ソフトボールの29チーム)の練習中の動きを計ったところ、しっかり体を動かしていた時間は練習時間の半分弱(平均45分)で、1回の練習で平均30分ほどは、ほとんど動いていませんでした(Leekら、2011年)。

待ち時間、説明を聞く時間、順番待ち。練習場所にいる時間と、練習している時間は、そもそも同じではないのです。

自分の数字で確かめる
シュートスピードの計算 ―― 手元の動画で測った秒数から

成果=時間×質

時間は、親が頑張ってもそう簡単には増やせません。チームの練習時間は決まっていて、平日は学校もある。公園ではボールを蹴れないことも多い。

だから差がつくのは、もう一つの掛け算、質のほうです。

では、質とは何か。ヨーロッパの研究に、ヒントがあります。

オランダで11〜17歳のユース選手、エリート159人と、そうでない選手285人を比べた研究では、はっきり差が出たのは「振り返り」と「努力」でした(Toeringら、2009年)。上のレベルの選手ほど、自分の得意と苦手をわかっていて、それを次の行動に移していたのです。

才能の差というより、「自分の課題を知っていて、それを意識して練習しているか」の差。私はこれが、練習の質の正体だと思っています。

うまくなる子は、ぐるぐる回している

理想は、次の4つを回すことです。

  1. 試合で、課題が見つかる
  2. 自主練で、その課題に取り組む(映像を見るのも含めて)
  3. チーム練習で、意識してやってみる
  4. 試合で試す。そして、また課題が見つかる

チーム練習のメニューが同じでも、「今日はこれを意識する」と決めて入る子と、ただ参加している子では、同じ90分の中身がまるで違います。

たとえば、コーチに「カバーに移るのが遅い」と言われた子。次の練習のゲームで「ボールが逆サイドに出たら、まず一歩目を早く」とだけ決めて入れば、いつものゲームが、その子だけの課題練習に変わります。

子どもひとりで回すのは、なかなか難しい

この4つを、自分で見つけて、自分で回せる子もいます。でも、多くの子にとっては簡単ではありません。

試合の帰りに「今日どうだった?」と聞いても、返ってくるのは「別に」「負けた」くらい。課題は、本人もうまく言葉にできないものです。

うちの子のカップ戦の1日を数字で見ると、出場は60分、ボールに触っていたのはたぶん3分くらいでした。残りの57分、ボールのないところで何をしていたか。そこにこそ課題が隠れているのに、本人の記憶にはほとんど残っていません。

親にできる4つのこと

だから、親にできることがあります。答えを教えるのではなく、サイクルが回るのを手伝うことです。

  • 気づきを渡す(「あの場面、どう見えてた?」と聞いてみる)
  • 一緒に考える(課題を一つに絞る。たくさん言わない)
  • 見守る(練習中・試合中は口を出さない)
  • 映像を撮る(本人が自分の目で課題を見つけられる)

うちのチームは試合の映像を撮っていないので、親がスマホで撮っています。ボールのない時間の動きは、映像でしか確かめられないからです。

自主練では、試合で出た課題に合わせて、最後のタッチから一歩・半歩で打つシュートや、ラダーであえて疲れさせてから打つシュートを入れてきました。どれも、試合で見つけた課題から生まれた練習です。

ラダーを使った練習のメニューは、本にまとまっているものもあります。

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強いチームに行くことや、練習時間を増やすことは、お金や時間で買えます。でも、練習の中身、ボールを持っていない時間に何を考えているかは、お金では買えません。このことは「強いチームに行けば、上手くなるのか」にも書きました。

うちの子の練習は、どのくらい回っているか。10問で見られる「練習の質セルフ診断」を作りました。

練習場所に送っていく前に、一言だけ。

「今日は、何を意識してくる?」

その一言が、同じ90分を変えるかもしれません。

よくある質問

Q. 練習の質を上げるには、親は何をすればいいですか?

A. 練習の中身に口を出すより、練習の前後に関わるのがおすすめです。練習前に「今日は何を意識する?」と一つだけ聞き、帰りに「それはできた?」と確かめる。課題を一つに絞って、本人の言葉で言ってもらうのがポイントです。

Q. 自主練の時間を増やせば、うまくなりますか?

A. 時間を増やすことにも意味はありますが、試合で見つかった課題とつながっていない自主練は、伸びにくいと考えています。まず課題を一つ決めて、それに合わせた自主練にすると、同じ時間でも中身が変わります。

Q. 試合の映像は、どう使えばいいですか?

A. 全部を見返す必要はありません。本人が気になった場面を1〜2か所だけ一緒に見て、「この時、何が見えてた?」と聞くくらいで十分です。親が先に答えを言わず、本人に気づいてもらうことを大事にしています。

参考

  • Leek D, et al. Physical activity during youth sports practices. Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine, 2011(概要:ScienceDaily)
  • Toering TT, et al. Self-regulation and performance level of elite and non-elite youth soccer players. Journal of Sports Sciences, 2009(フローニンゲン大学)
#練習の質#自主練#振り返り#親の関わり方#少年サッカー#ジュニアユース
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