「とにかく水を飲め」も行き過ぎ?──子どもの水分補給、飲み過ぎと飲み物の選び方
執筆:オペラシンフォニー
「運動中は水を飲むな」はもう昔話。でも“こまめに飲もう”の勢いが行き過ぎて、今度は「飲み過ぎ」の落とし穴が知られてきました。水・スポーツドリンク・経口補水液は、実は別物。子どもの水分補給を、いま知っておきたい視点で整理します。
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「運動中に水を飲むな」——かつての誤った常識は、もう完全に過去のものです。今は「のどが渇く前に、こまめに」が当たり前。ここまでは、多くの方がご存じでしょう。
ところが、その"こまめに飲もう"の振り子が行き過ぎて、いま新しい注意点が知られてきました。飲み過ぎの危険と、飲み物の選び方です。どちらも見落とされがちなので、整理します。
振り子は、二度動いた
昔は「飲むな」。その反省から「とにかくこまめに、スポーツドリンクで」へ。これは正しい方向でした。ただ勢いあまって、「多ければ多いほど良い」「経口補水液を常に飲ませる」といった、別の行き過ぎも生まれました。いま専門家が示すのは、その真ん中です。
見落とし①:水の飲み過ぎも、実は危険
たくさん汗をかいたときに、水だけをがぶ飲みしすぎると、血液中の塩分(ナトリウム)が薄まって「低ナトリウム血症(水中毒)」になることがあります。軽いと頭痛や吐き気、重いとけいれんや意識障害。マラソンでは死亡例も報告されています。
だから今の基本は「のどの渇きに合わせて飲む」。渇く前のこまめな補給は大切ですが、渇いてもいないのに限度なく大量に、ではありません。とくに体の小さい子どもは、塩分が薄まりやすい面もあり、注意が必要です。
見落とし②:経口補水液は“日常の飲み物”ではない
経口補水液(OS-1など)は、脱水や嘔吐・下痢のときの、いわば治療用の飲み物です。塩分と糖分の設計が、日常のスポーツ向けではありません。脱水していないのに毎回飲ませると、塩分をとりすぎて、かえって体調をくずすこともあります。ふだんの練習の水分補給には向きません。
飲み物の使い分け(これが新常識)
- 1時間以内・室内・軽い運動:水や麦茶で十分
- 長時間・炎天下・大量の汗:スポーツドリンク(塩分・糖分・水分を一度に)
- 脱水・嘔吐や下痢・熱中症が疑われるとき:経口補水液(治療用)
注意点もあります。スポーツドリンクは糖分が多めなので、日常的にがぶ飲みすると、虫歯や糖のとりすぎにつながります。薄めたり、水と交互にしたりの工夫を。カフェインの入ったエナジードリンクは、子どもには不向きです。
海外・スポーツ科学ではどう考える?
海外では「drink to thirst(渇きに応じて飲む)」が主流の考え方です。飲み過ぎによる低ナトリウム血症を避けるためです。さらに、選手ごとに運動前後の体重の変化を測り、どれだけ汗で失い、どれだけ戻せばよいかを具体的に管理します。がまんでも、がぶ飲みでもなく、その子に合った量を、が世界の当たり前になっています。
保護者ができること
- がまんはさせない。でも無理に大量にも飲ませない。渇きに合わせて、が基本
- 場面で飲み物を選ぶ。ふだんは水・麦茶、汗だくの日はスポーツドリンク、脱水気味なら経口補水液
- 「顔が赤い」「ぼんやりする」「頭痛・吐き気」などのサインが出たら、すぐ涼しい場所で休ませ、水分と塩分を。ひどいときは迷わず受診を
その日に必要な水筒の量は、練習・試合の日の水筒は何リットル?で、気温や練習時間から目安を出せます。
「飲むな」から「とにかく飲め」へ、そして今は「渇きに合わせて、飲み物を選ぶ」へ。水分補給の常識は、もう一歩先に進んでいます。
※熱中症が疑われるとき(意識がおかしい、水分がとれない等)は、ためらわず救急要請を。心配なことは医療機関にご相談ください。
夏の練習や遠征で量が足りなくなりがちなら、大容量の水筒を一本用意しておくと安心です。
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