家でできる練習と道具 ―― 「いつもと違う」が、上達を早くする
本記事はプロモーション(PR)を含みます。
執筆:オペラシンフォニー(元大手証券の営業15年/CFP)
公園ではボール遊び禁止が当たり前になり、家での練習の工夫が大事になっています。研究やガイドラインの数字をもとに、家でできる練習の考え方、やりすぎの目安、ボールや道具の選び方をまとめました。
紹介している商品・サービスは、記事の最後にまとめています ↓
「公園で練習させたいのに、ボール遊び禁止の看板がある」。そんな経験はありませんか。放課後にふらっとボールを蹴れる場所は、確実に減っています。一方で、研究を見ていくと、上手くなる子の土台には「たくさんボールに触った時間」があることが分かってきました。この記事では、公的なガイドラインや研究の数字をもとに、家でできる練習の考え方と、やりすぎの目安、ボールと道具の選び方をまとめました。
紹介した道具は、記事の最後にまとめています。
公園でボールを蹴れる場所は、減っている
2018年に首都圏・関西・中部の街区公園など306か所を調べた調査では、野球やサッカーを禁止している公園が、首都圏では調べた公園のすべて、関西で62%、中部で22%でした。出典:リセマム(キャップスアソシエーション「公園のチカラLAB」の調査、2018年)
体を動かす時間そのものも、二極化しています。スポーツ庁の令和6年度の全国体力調査では、体育の授業以外で1週間の運動時間が60分に満たない子が、小学5年の男子で9.1%、女子で16.0%、中学2年の男子で9.7%、女子で21.8%いました。出典:スポーツ庁 令和6年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査 WHO(世界保健機関)は、5〜17歳に1日平均60分の中〜高強度の運動をすすめています。出典:WHO 身体活動・座位行動ガイドライン(2020年)
上手くなる子の土台は、「練習」より「遊び」だった
プロになった選手の子ども時代を調べた研究があります。2009年に発表されたFordらの研究では、6〜12歳のころに「サッカーで遊んでいた時間」が、プロになった選手ほど多かったことが分かりました。一方で、チームの練習や試合の時間には、大きな差がなかったとされています。出典:Ford ほか(2009)High Ability Studies
家での練習は、この「遊びの時間」を増やすのにぴったりです。コーチに言われたメニューをこなすより、好きなように、たくさんボールに触る。それで十分意味があります。
一つのスポーツに早く絞るかどうかについては、「早く一つに絞ると有利」は本当?で、米国の研究を紹介しています。
触る回数が増えると、上達が早い
ボールに触る回数の大切さは、試合の人数の研究にも表れています。ドイツの研究(2021年)では、7歳以下の3対3は、6対6や7対7と比べて、得点が2.5倍以上、ドリブルが2倍以上に増えました。出典:Lex ほか(2021)German Journal of Exercise and Sport Research
JFAが8人制サッカーをすすめる資料でも、試合でシュートを打った人数は、11人制が平均4.5人(25%)だったのに対し、8人制では7.5人(42%)でした。ボールに触る回数が多いほど、技術は伸びやすいという考え方です。出典:JFA「8人制サッカーをしよう!」
家の練習は、いわば「1対0」。一人で、全部のタッチを自分のものにできる時間です。
やりすぎには、はっきりした目安がある
ただし、多ければ多いほどいいわけではありません。アメリカ小児科学会(AAP)は、組織的なスポーツを週に1日以上は完全に休み、できれば週1〜2日休むこと、そして競技ごとに年2〜3か月は休む期間をとることをすすめています。出典:AAP 臨床報告(2024年)Pediatrics
アメリカの研究(2015年)では、1週間の組織的な練習時間が年齢の数字(12歳なら12時間)を超える子は、重い使いすぎのケガのリスクが約2倍でした。組織的な練習と自由な遊びの時間の比が2対1を超える場合も、リスクが上がっていました。出典:Jayanthi ほか(2015)American Journal of Sports Medicine 日本でも、スポーツ庁の部活動のガイドラインは、週2日以上の休養日を設けるよう定めています。出典:スポーツ庁 運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(2018年)
家での練習は、チームの練習に上乗せする「量」ではなく、遊びとして楽しむ「時間」と考えるのがちょうどいいと思います。チームの休みの日は、家でもしっかり休む日にしてください。
1週間の練習時間・休養日・睡眠のバランスは、練習の信号機で、年齢に合わせて確かめられます。
家でできる練習:「いつもと違う」を足す
同じボールで、同じ練習を、同じようにくり返す。まじめな子ほどそうしがちですが、運動学習の研究では、条件を変えながら練習する「変動練習」の方が、長い目で見て技術が身につきやすく、ほかの場面にも生きやすいとされています。
サッカーでも、この考え方を裏づける研究があります。ドイツの研究者シェルホーンが提唱した「ディファレンシャル・ラーニング(あえて毎回ちがう条件で動く練習)」を、U13とU15の選手40人が5か月間取り入れたところ、プレーの工夫や独創性が伸び、ミスが減りました。伸びが大きかったのは、U13の方でした。出典:Santos ほか(2018)Research Quarterly for Exercise and Sport
のびしろピッチで育成を研究してきた中でも、家の練習でいちばん効くのは、この「いつもと違う」を足すことだと考えています。どれも10〜15分でできます。
1. ボールを変える ―― 大きさ、重さ、硬さ
いつものボールだけでなく、大きさや硬さの違うボールを混ぜて触ります。
| ボール | 直径の目安 |
|---|---|
| サッカー 4号球(小学生) | 約20.5cm |
| リフティングボール(大きめ) | 約13〜18cm(商品による。下で紹介するものは約15cm) |
| リフティングボール(上級) | 約7.7cm |
| テニスボール | 約6.7cm |
小さいボールほど、よく見て、芯を正確にとらえないと扱えません。さらに一歩進めるなら、「重さは同じで、大きさだけ小さい」ボールを使います。重さが同じなので力の入れ方はいつもどおりで、足や筋肉に伝わる感触だけが変わります。変えるのは一つだけ、というのがポイントです。小さいボールでリフティングやドリブルをしたあと、いつものボールに戻すと、ボールが大きく、簡単に感じられます。
大きさだけでなく、触った感触を変えるのも効きます。とくにおすすめなのが、あえて空気を少し抜いたボールです。足に吸いつくように止まり、蹴ると思ったより飛びません。そのぶん、力の加減とインパクトの位置を細かく調整する必要が出てきます。いつものボールに戻すと、ボールが「生きている」ように弾む感覚がはっきり分かります。試合球の空気圧は、競技規則で0.6〜1.1気圧と決められていて、ボールには「0.8〜1.0bar」などと書かれていることが多いです。空気圧計で、いつもの空気圧を測ってから少し抜き、練習のあとは元に戻しておきましょう。出典:JFA サッカー競技規則 2025/26古くなって表面がつるつるになったボールは、回転をかけにくくなります。足の裏や甲が受け取る感触が変わるたびに、体は新しい調整を覚えようとします。
気をつけたいことが三つあります。
- 小さいボールばかり練習すると、かえっていつものボールが蹴りにくくなることがあります。必ず、試合で使うボールと組み合わせてください。
- 練習の最後は、試合で使うボールで締めます。いつもと違う刺激で感覚を研ぎ澄ませてから、本番のボールで確かめる、という順番です。
- 硬いボールや古いボールで強いシュートを打つと、足首や足の指に負担がかかります。成長期の小学生は、硬いボールはトラップやドリブル、軽いパスまでにしてください。
2. 触る前に、首を振る(スキャン)
ボールを受ける前に首を振って周りを見ることを「スキャン」と呼びます。イングランド・プレミアリーグの選手27人の9,574回のボール保持を調べた2020年の研究では、よくスキャンする選手ほどパスを成功させる確率が高く、約86%の選手でスキャンがパスの成功にプラスに働いていると推定されました。出典:Jordet ほか(2020)Frontiers in Psychology
家では、壁当てに一つルールを足します。ボールが跳ね返ってくる前に肩越しに後ろを見て、家族が立てた指の本数を、ボールを止める前に言う。慣れたら、家族が指さした方向へ、止めたボールを運ぶ。ただの壁当てが、「見てから触る」練習に変わります。
3. 二つのことを、同時にする
試合では、ボールを扱いながら、声や周りの動きを同時に受け取っています。家でも、その「同時に」をつくります。
- 2球同時キャッチボール:家族とボールを2個同時に投げ合う。2つを同時に見て処理するので、視野が広がります。
- 計算しながらキャッチ:キャッチボールの途中で、家族が「7たす8は?」と問題を出し、捕りながら答えます。体を動かしながら考える練習です。
- 足でパス、手でキャッチ:足で大きめのボールをパス交換しながら、同時に手で小さいボールのキャッチボールをします。
- テニスボールを両手に持ってドリブル:腕に力が入るとテニスボールが落ちるので、自然に上半身の力が抜けます。上半身が力むと、動き出しが遅くなり、フェイントも効きにくくなります。
4. 雨の日と夜は、野球のゴムボールで
外で練習できない日は、柔らかい野球のゴムボールが1個あれば十分です。壁や窓を傷つけにくく、当たっても痛くありません。
- 投げ球トラップ:家族がふわりと投げたボールを、足・もも・胸でやわらかく止めます。勢いを吸収するトラップは、試合でいちばん使う技術です。
- 落下ボール反射キャッチ:子どもを座らせ、後ろに立った家族が頭の上からボールを落とします。目の前に来た瞬間にキャッチ。「見てから動く」速さを鍛えます。
- 左右のゴロ捕り:家族が左右にゴロを転がし、低い姿勢のまま動いて止めます。1対1で相手を止める守備の体の使い方に通じます。
- クッションを相手に見立てたドリブル:床に置いたクッションや座布団を相手に見立てて、ぶつからないようにかわします。置き方を変えれば、コースは無限です。
5. 少し疲れてから、技術
技術は、元気なときより疲れたときにこそ差が出ます。試合の終盤、息が上がった状態でも止める・蹴るが乱れない子は強い。練習の条件が試合の条件に近いほど、試合で再現しやすくなる、という考え方です。
家では、その場もも上げや階段の上り下りを20秒ほどしてから、すぐにリフティングや壁当てを10回。息を整えて、もう一度。これを3回くり返す程度で十分です。庭や近所のグラウンドが使えるなら、家にある古いボールも新しいボールも全部並べて、止まらずに次々とシュートしていくのも効きます。ボールごとに感触が違うので、1球ごとに調整が必要になり、蹴る回数もぐんと増えます。最後は、試合で使うボールで締めてください。
成長期は、利き足と反対の足で、5号球の全力シュートを何本も打つのは控えめにしておくと安心です。やりすぎはケガのもとなので、前の節の「休む日」の目安も必ず守ってください。
成長期のひざの痛みが気になるときは、オスグッド病とは?成長期のひざの痛みも参考にしてください。シュートの速さは、スマホで撮った動画のコマ数からシュートスピードの計算で測れます。
道具は、高くなくていい
ここまでの練習は、ほとんどが身近なもので足ります。テニスボール、ゴムボール、リフティングボール。マーカーの代わりには、空のペットボトルや紙コップで十分です。高い練習器具を月に数回使うより、安い道具を毎日使う方が、1年後の差ははるかに大きくなります。始めやすくて、続けやすい。それが、いちばんの練習道具の条件です。
いつものボールに混ぜて使う小さいボールは、たとえばこちらです。
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ボールの選び方:年代で号数が違う
ボールは年代によって大きさが違います。家で使うボールも、チームと同じ号数をそろえるのが基本です。
| 種類 | 対象の目安 | 直径 | 重さ |
|---|---|---|---|
| サッカー 5号 | 中学生以上 | 約22.0cm | 約430g |
| サッカー 4号 | 小学生 | 約20.5cm | 約370g |
| サッカー 3号 | 小学校低学年・幼児 | 約19.0cm | 約310g |
| フットサル 4号 | 中学生以上 | 約20.5cm | 約420g |
| フットサル 3号 | 小学生 | 約19.0cm | 約370g |
フットサルボールは、同じ大きさでもサッカーボールより重く、弾みにくく作られています。家の中や狭い場所で足元の練習をするなら、転がりすぎないフットサルボールも扱いやすい選択肢です。
チームと同じ号数のボールは、ゼビオの4号球の一覧
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安全とご近所への気配り
室内で練習するなら、家具やテレビは転倒防止のために固定しておきましょう。消費者庁も、家具の固定や引き出しのストッパーを呼びかけています。出典:消費者庁 マンションや夜の時間は、足音やボールの音が響きやすいので、足裏タッチなど静かにできる練習を選ぶと安心です。
まとめ
ボールを蹴れる場所は減っても、家には毎日使える時間があります。研究が示すのは、上手くなる子の土台に「たくさん遊んだ時間」があること。家では、メニューをこなすより、10〜15分、好きなようにたくさんボールに触る。そして、チームの休みの日はしっかり休む。この二つを守れば、家の練習は、いちばん身近な成長の場になります。
よくある質問
Q. 小学生は何号のサッカーボールを使えばいいですか?
A. 小学生は4号球、中学生以上は5号球が目安です(小学校低学年や幼児は3号球)。家で練習するボールも、チームで使っている号数とそろえるのが基本です。
Q. 家での自主練は、毎日何分くらいがいいですか?
A. 10〜15分程度でも十分意味があります。研究では、子どものころの「遊びの時間」の多さがプロになった選手の特徴とされています。量をこなすより、楽しく続けられる長さにしてください。
Q. 雨の日や夜に、家の中でできるサッカーの練習はありますか?
A. 柔らかい野球のゴムボールを使うと、投げたボールを足やももで止めるトラップ、頭の上から落としたボールを捕る反射キャッチ、クッションを相手に見立てたドリブルなど、室内でも安全にできる練習がたくさんあります。
Q. 練習のしすぎかどうかは、どう判断すればいいですか?
A. 週1〜2日は完全に休むこと(アメリカ小児科学会)、1週間の組織的な練習時間が年齢の数字を超えないこと(2015年の研究)が一つの目安です。痛みが続く場合は、早めに整形外科などで相談してください。

家の練習をそろえるなら、次のものがあると便利です。マーカーは、空のペットボトルや紙コップで代わりになります。
- リフティングボール(小さいボール):いつものボールと混ぜて使うと、「いつもと違う」刺激が手軽につくれます。直径約15cmのゴム製なら、4号球(約20.5cm)とも5号球(約22cm)ともはっきり大きさが違い、室内でも扱いやすいです。モルテン リフティングボール ノーマルタイプ LBN15(直径約15cm/楽天市場)
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- 空気圧計付きの空気入れ:空気圧を測れて、ボタンで少しずつ空気を抜けるものが便利です。入れる・測る・ボタンで抜く、が1台でできるものなら、練習で少し抜いたあと、元の空気圧にきちんと戻せます。ミカサ エアーゲージ付きダブルアクションハンドポンプ AP-AG(楽天市場)
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- 大きさだけ小さいボール(3号球サイズ・4号球重量):重さはいつもの4号球と同じで、大きさだけがひと回り小さいボールです。力の入れ方はそのままに、足に伝わる感触だけが変わるので、「いつもと違う」刺激がいちばん素直に入ります。中学生なら、3号の大きさで5号の重さのトレーニングボールもあります。練習の最後は、いつもの号数のボールで締めてください。モルテン ヴァンタッジオ ジュニア370(3号球サイズ・4号球重量/モルテン公式)
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いつものボールを買い替えるときは、号数(小学生は4号球)から探せる一覧が便利です。
▶ 4号球のサッカーボールを見る
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本記事は、公的機関のガイドラインや研究をもとにした一般的な情報です。練習の量や内容は、年齢や体の状態、チームの方針によって調整してください。痛みやケガがある場合は、医師にご相談ください。数値は記載時点の資料にもとづきます。本サイトはアフィリエイトプログラム(PR)を含みます。