朝、まだ暗いうちに、おにぎりを握る
執筆:オペラシンフォニー
朝は早いし、お金はかかるし、送り迎えも大変。サッカーをやってる子の親って、みんなどこかで「これでいいのかな」と思いながら、それでも送り出してますよね。同じ気持ちの人、いませんか。
朝、まだ外が真っ暗なうちに起きて、台所の灯りだけをつける。
おにぎりを握って、保冷剤を詰めて、洗っておいたユニフォームをバッグに入れる。朝五時に家を出て、帰ってくるのは夜。時には十時を回ることもある。
……こういう朝を過ごしてるお家、結構あると聞きます。特に、遠征の多いチームだと、そうみたいですね。読んでいて「あー、うちもだよ」とうなずいた方、いるんじゃないでしょうか。
うちは、そこまでではないんですけど。それでも、送り出すとき、つい言っちゃうんですよね。「上着、持った? 朝はまだ寒いよ」って。もう聞こえてないのも分かってるのに、言っちゃう。子どもが行くのを、見えなくなるまで、なんとなく見送る。
周りのお父さん、お母さんたちも、同じような顔をしてる。「補食、何持たせた?」なんて話しながら。あの、送り出す前の空気、独特ですよね。
で、正直に言いますね。お金、結構かかります。
スパイクなんて、二か月ももたない。足はすぐ大きくなるし、すり減るのも早いし。用品を一式そろえて、遠征が続く月は、月謝とは別の出費もある。強いチームだと、一年でなかなかの金額になると聞きます。うちも、これからそうなるのかな、なんて、少し身構えたり。
それでも、次の集金袋には、たぶん、ちゃんとお金を入れて持たせちゃうんだと思うんです。
なんでだろう、と考えるまでもなくて。だって、楽しそうにボールを蹴ってるんだもん。うちの子が。
いつか、いい番号を背負って、ピッチに立つ姿を見てみたい。スタンドから、それを見たい。……親って、つい、子どもに夢を乗せちゃいますよね。
親ばか? うん、そうかも。でも、いいじゃないですか。うちの子のことだもん。
物語『背番号と請求書』の第一話に、こんなお母さんが出てきます。この大変さを、「これは大変なことじゃなくて、この子のためなんだ」と、自分に言い聞かせる場面。
これ、まだ全部は経験してなくても、気持ちはすごく分かるんです。そう思うことにしないと、やっていけない朝も、きっとありますもんね。
一つだけ。偉そうに言うつもりはまったくなくて、同じ親として、なんですけど。
たまに、子どもの顔を、のぞいてみたいなと思うんです。
うまくなってるかな、試合に出られるかな……の前に。「楽しそうにしてるかな」「ちょっと無理してないかな」。それくらいで、いいのかもしれません。
早起きも、遠征も、お金も。全部、うちの子のため。その気持ちは、何も、間違ってません。
その上で、時々、顔をのぞく。私も、自分にそう言い聞かせてる、それくらいのことです。
今日もどこかで、誰かのお父さん、お母さんが、おにぎりを握ってる。そう思うと、なんだか、一人じゃない気がしませんか。
お互い、無理のない範囲で、いきましょうね。