成長期の体に、エネルギーは足りていますか?
寝る。食べる。動く。小学校高学年〜高校生の選手の、通常の練習の日と遠征・試合の日をくらべて、成長期の体に余裕があるかを7つの見立てで見ます。身長を伸ばす方法・商品を紹介するツールではありません。
1. お子さんのこと
対象は小5〜高3(満10〜17歳)です。名前・チーム名・学校名は入れません。
ほかは、中1・男子の初期値で計算します:生まれた月=今月(10月)とした場合の月齢13歳0か月、平均身長157.6cm・平均体重47.9kg(全国平均を月齢で補間)、1年前の身長150.0cm(1年前の月齢の全国平均)、平日の睡眠7.5時間(中学生の平均・調査)、練習 週4日×2時間、遠征・試合の日 月2回(2試合×70分・移動2時間)、休養日 週2日。
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かんたん計算(学年・性別のほかは初期値):中1・男子・10月生まれ(今月とした場合)・13歳0か月・157.6cm・47.9kg
通常の日:練習2時間×週4日/遠征・試合の日:2試合×70分+ほかの運動0.5時間+移動2時間・月2回
遠征の日は、通常の日より
約580kcal
(おにぎり約3.5個分)多く使っています
同じ量を食べていても、遠征の日は体に残る分がそれだけ変わります。
| 基本の必要量(12-14歳・男子・活動「低い」) | 2,300kcal |
| 通常の日:練習 2時間 | +600kcal |
| 遠征の日:試合 2×70分 | +1,000kcal |
| ほかの運動 0.5時間 | +150kcal |
| 移動 2時間 | +30kcal |
運動で増える分=体重×(メッツ−1)×時間×1.05(サッカーをする子のエネルギー計算と同じ式)。移動そのものの消費は小さいのですが、移動が長い日は食べる機会が減りやすくなります。
7つの見立て
研究 研究・公的資料で確認推測 研究から推測仮定 運営者の仮定
① 成長の段階研究仮定
伸び盛りの入り口の可能性
1年前の身長は初期値(1年前の月齢の全国平均)なので、平均どおりの伸び(1年で7.6cm)として見立てています。健康診断の記録を入れると、その子の伸びで見立てます。日本人男子のPHV(いちばん伸びる時期)の伸びの平均は9.9cm/年です。
② エネルギー推測仮定リスク:注意
通常日:目立った心配なし/遠征日:不足に注意
当てはまったこと:遠征日の差が300kcal以上で、食事がいつもと「同じくらい」。
PR遠征の日の補食を考えるとき、おにぎりとスープのレシピ本があると便利です
次は、練習量・休養・睡眠のバランスを、5つの目安で確かめてみましょう。
練習の信号機 →③ 睡眠研究仮定短め
今は7.5時間 → 目安より0.5時間短め
中学・高校生の目安は8〜10時間です(厚生労働省 2023)。成長期の生活として、睡眠の確保を優先したい時期です。(いまは中学生の平日の睡眠の平均(調査)を初期値として入れています。「くわしく」で実際の時間に変えられます)
④ 運動の量研究目安内
週9.3時間(13歳の目安は週13時間まで)
練習の時間に、遠征・試合の日の運動(試合+アップなど)を週に直して足した時間です。年齢の数(時間)までが目安とする研究があります(Jayanthi ほか)。
⑤ 回復仮定リスク:注意
回復に気をつけたい
当てはまったこと:睡眠が目安より短め。
⑥ 補給仮定
試合前の食事に+1個、試合の間に+1個、終わってすぐ+1.5個が目安
遠征日の上乗せ分(おにぎり約3.5個分)を、試合の2〜3時間前の食事・試合の間・終わってすぐ(30分〜1時間以内)に分けた目安です(分け方は仮定)。おにぎり・バナナ・果物・牛乳など、ふだんの食べ物で。 水分は、水分補給シミュレーションで別に計算できます。
⑦ 成長と競技力推測
伸び盛りの前後
骨・筋肉・回復にエネルギーが要る時期。ひざ・かかとの痛みが出やすい時期とされます。量を増やすより、食べる・寝る・休むを先にそろえる時期です。
換算できないこと研究
「1cm伸ばすには○kcal」「1時間多く寝ると○cm」という換算式は、研究では見つかっていません。このツールは、身長の伸びを予測するものではありません。
成長そのもの(体の組織が増える分)に使われるエネルギーは、1日の必要量の中ではごく一部です。問題になるのは「慢性的な不足が、ホルモン・骨・回復などに影響する可能性」のほうです(IOC 2023)。睡眠も、12〜16歳で睡眠時間と1年間の伸びに関連が見られなかった研究が紹介されています。睡眠は「何cm」ではなく、成長期の生活として十分かで見ます。
「エネルギーの余裕」という考え方研究
研究では、食事でとった分から運動で使った分を引いた「体に残る分」を、筋肉や骨など脂肪以外の体重1kgあたりで見ます(利用可能エネルギー)。大人では1日30kcal未満が「低い」目安として使われてきましたが、子ども・思春期の線は決まっておらず、家庭で正しく測る方法もありません。そのため、このツールは数値を出さず、通常の日と遠征の日の差と、体重・伸びの変化を見ています。
体重を減らす目的には使わないでください。成長期に体重が増えない・減っているときは、食事を減らすのではなく、小児科・スポーツドクターに相談してください。
このツールは理想体重・体脂肪率を出しません。「食べすぎ」の判定もしません。食事を極端に減らしている・食べることを怖がる様子があるときは、医療機関や
摂食障害全国支援センター(国立精神・神経医療研究センター)の案内する相談窓口へ。
この結果の読み方
大事なのは1日の不足より、「どのくらい」「どのくらいの頻度で」「どのくらい続くか」です。1日の遠征で体が損をする、という見方はしません。
遠征日は、いつもと同じ量では足りないことがあります。上乗せ分(おにぎり約3.5個分)は、試合の前・間・後に分けると食べやすくなります。
体重が増えない・減っている、疲れが抜けない、ケガが続く、が重なったら、食事を減らさず医療機関(小児科・スポーツドクター)に相談してください。
まず自分でできること
- 遠征の前日に、補食(おにぎり・バナナなど)を何個持たせるか決めておく
- 学校の健康診断の身長・体重を毎年メモしておく(1年の伸びが分かる)
- 連戦の翌日は、休養日か軽めの日にできないかチームに相談する
- 睡眠は、起きる時刻から逆算して寝る時刻を決める
計算の前提と出典(2026-10-08 時点)
- 基本の必要量は、食事摂取基準(2025年版)の推定エネルギー必要量・身体活動レベル「低い」です(成長に使う分を含む値)。年齢の区分(10〜11・12〜14・15〜17歳)は今日の満年齢で決めます。月齢は学年と生まれた月から、成長の時計と同じ学年の区切り(4月生まれが学年の最初)で出します。生まれた月の初期値は、開いた月(今月)が誕生月とした場合です。
- 運動で増える分=体重×(メッツ−1)×時間×1.05。練習7・試合9.5・移動(車・バス・電車に乗る)1.3メッツ(2024 Compendium)。遠征の日の差=遠征の日の上乗せ−通常の日の上乗せを10kcal単位に、おにぎり(156kcal)は0.5個単位に丸めます。
- 身長・体重の初期値は学校保健統計(令和6年度)の年齢別平均を、「N歳」(4月1日時点)=N+0.5歳の値とみなして月齢で線形補間した値です(成長の時計・50m走の目安と同じ考え方)。身長だけ書き換えたときの体重は「同じ月齢の平均の体格×身長²」。睡眠・休養日・練習の初期値は練習の信号機の年代の数字(睡眠はベネッセ2013年の調査の平均、休養日は中学=部活動ガイドライン、それ以外と練習は仮定)、遠征・試合の日(月2回・2試合・移動2時間)は運営者の仮定です。
- 成長の段階(仮のルール):1年の伸びが日本人のPHVの伸びの平均−1SD(男子8.4・女子7.3cm/年)以上なら「PHV前後の可能性:高い」、5cm/年以上ならその手前か後、5cm/年未満なら年齢で前・後・判断しにくいに分けます。1年前の身長の初期値は「今の月齢−12か月」の全国平均(月齢で補間)で、今の身長を書き換えたときは「今の身長+(1年前の平均−今の平均)」(平均どおりの伸び)にします。初期値のままなら平均どおりの伸びとして見立てます(座高からMoore式で推定できるときはそちらを優先)。伸びを使えないときは、年齢とPHVの平均年齢(男子13.05±0.94・女子11.05±1.05歳)の差だけで「高い(±1SD内)/中くらい(±2SD内)/低い」とします。5cm/年の線は運営者の仮定です。1年前のほうが1cm以内で高いときは測り方の誤差とみなして伸び0cm、それより高いとき・15cm/年を超えるとき(日本人男子のPHVの伸びの平均+3SD=14.4cm/年を少し上回る線。仮定)は伸びを使わず年齢だけで見立てます。
- Moore式(座高などからPHVを推定する式)は、成長の時計と同じく係数を原著で確認できるまで使っていません。
- エネルギーの見立て(仮定):体重が「減っている」→高い。遠征日の差が300kcal以上で食事が「少ない/同じくらい」、遠征日の食事が「少ない」、連続2日以上、月4回以上のどれか→注意。線は「くわしく計算」で変えられます。
- 睡眠:小学生9〜12時間・中学高校生8〜10時間(厚生労働省 2023)の下限未満→注意、下限より1時間以上短い→高い(仮定)。運動の量:練習+遠征・試合の日の運動(月→週は52÷12で換算)が年齢の数(時間)まで→目安内。回復:睡眠が短め・休養日0日・連続日数の線以上のうち2つ以上→追いついていない可能性、1つ→気をつけたい(仮定のルール)。
- 補給:遠征日の上乗せ分のおにぎりの個数を、試合の前・間・終わってすぐに1:1:1で分けます(0.5個単位。仮定)。水分は水分補給シミュレーションで計算します。
- 18歳になっている高3は、15〜17歳の値で計算します。予測身長・最終身長・理想体重・体脂肪率・利用可能エネルギーの数値は出しません。